価値観をしぼりこむ
●価値観をしぼりこむ
「ぼちぼち」の成功は、信念なしでも成し遂げられるが、「大きな成功」は、どんな犠牲を払ってもでも達成するという信念なしには成し遂げられない。
なぜなら私たちは、いろいろなものに価値を見出す。
どれを飲もうかと居酒屋で迷う人は、ビールも日本酒も焼酎も好きな人だ。
ビールしか好きでない人は迷わない。
人生でも、多くのものに価値を置いている人ほど迷いが多くなり、時間、お金、そしてエネルギーを浪費することになる。
さらに悪いことに、そういう迷いを繰り返しているうちに、苦労せずに達成できるものや、まわりの人間と同じレベルのものが、優先されるようになる。
「一番安いのでいいや」「みんながビールなら、おれもそれにする」ということになるのだ。
人生の方向を決める大切な価値観が、このように成り行きでつくられてしまう。
ほとんどの人、とくに「なかなか稼げない成功レベル」の人には、それが非常に多い。
しかし価値観は、最初につくっておくこともできる。
「おれは、純米の久保田しか飲まない」と決めた人間は、迷うことなく自分の一番好きな酒を飲む。
あるいは、「いつかロマネコンティを浴びるほど飲んでやる」と、未来にそれを託す人もいるだろう。
彼らは流されることなく、自分の意思で選べるのだ。
それで私のセミナーなどでは、価値観に優先順位をつけてもらう。
自分にとって最も大切な価値を知り、それを実現するためなら、他のものを犠牲にしてもよいという信念を持ってもらうためだ。
何かを犠牲にする。その痛みが、じつは強欲のエネルギーになるのである。
西田文朗 「ツキを超える成功力」(現代書林)より
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